第235回佐保カルチャー 

   「詩は人類を救えるかー詩人たちの挑戦」を開催しました。

 

   講師:大阪市立大学名誉教授 村田正博氏

   日時:令和元年6月15日(土) 午後2時~3時30分

   参加者:54名  

   

 大阪市立大学大学院文学研究科の教授時代は「萬葉集を中心とする日本古典文学」を、一方一般教養科目では 「近代・現代詩」を講義されていた村田正弘先生の講演会。

 幾編かの詩を読んで、世界をしっかりと見つめ、私達がこの世界をどう生きるか、思索の糸口にしてほしいという先生の思いを込めて、講義が始まりました。

 長田弘氏の「砂時計の砂の音」では、イタリア土産の大きな砂時計を出され、それぞれの持つ時間の違いがあることや、エッセー「われらの星からの贈物」からは人間の身勝手による絶滅野生動物の問題を考えること。レバノン生まれのハリール ジブラ-ンの「おお地球よ」からは地球の偉大さ・寛容さを感じ取って欲しいこと。その他、石垣りんや伊藤整、末川茂、宮尾節子の詩を通して、人の心の優しさ、環境や社会問題、さらに戦争に至るまでを考えさせられる講演会でした。

 そして最後に先生が学問と出逢うきっかけとなった恩師村野四郎先生(近代を代表する詩人)が説かれた言葉を紹介して下さいました。「詩とは、りんごを食べるようなもの。りんごは少しずつだけれども滋養になっている。ビタミン注射のような即効性はないけれど、人間にとって生きている糧になる。詩を読むことはまさにこれである。