「若い後輩たちによる講演会」

 

     講演1  「奈良盆地平野部における孤立神社林の植生構造」

      講師   大田千絵氏 

    講演2  「十津川村・明日香村での地域連携活動」                       

      講師   武野楓氏、日根野谷風奈氏、山岡美穂氏

 

    日時    令和435日(土) 午後2:304:00

    場所    奈良県文化会館集会室AB  

    参加人数  19名   

 

新型コロナウイルス感染者数に改善が見られない中での開催でしたが、若い講師の方々のはつらつとした講演と、参加者の皆様の尽きない興味で、あっという間の1時間半でした。

 

前半は、大田千絵さんによる、「奈良盆地平野部における孤立神社林の植生構造」についての講演でした。

 長く人間活動による環境の改変が加えられてきた奈良盆地において、鎮守の森として守られてきた神社林には手つかずの自然が残っていると考えられるが、その植生に集落の中に「孤立した森」であることによる影響はあるのかという事を調べるため、

2015年の6月から9月までの4か月間、毎日、始発電車で、田原本町にある鏡作神社、村屋神社に通われた大田さんの調査・研究は大変興味深いものでした。

 集落の中に在る神社林は、人為的影響や孤立による影響などを受けて植生遷移していくので、自然林として守られるためには宮司、氏子、その他の住民の方々の連携と努力が欠かせないという事が、良く理解できました。

 昔は集落に1つあり、少し怖いけど身近な存在だった神社の森が、明るい公園に整備されるなど大きく変わりつつあります。自然であることだけが好ましいと言う訳ではないが、生物多様性の視点からも天然記念物として残す森があってもいいのではという大田さんのご意見に皆さん納得されたのではないでしょうか。

 

 後半は、室﨑研究室の武野楓さん、日根野谷風奈さん、山岡美穂さんによる、「十津川村・明日香村での地域連携活動」についての講演でした。

 2011年の紀伊半島大水害によって大きな被害を受けた奈良県十津川村で、水害復興のモデルケースとなる「谷瀬集落での村づくり活動」に参加されている様子を、紹介いただきました。特産品づくり、観光客や移住者の誘致などの活動に、外部アドバイザーや大学が関わっていくことで、住民の意識が一体となり前向きに変わったのが一番大きな変化でしたとの感想に、研究の場だけでない大学の可能性を感じました。

 また、昨年度の奈良県明日香村での茅葺民家再生プロジェクトを紹介いただきました。若い感性をいっぱい詰め込んだ、茅葺民家のレストラン・客室への再生案は本当に素敵で、実現が待ち望まれます。

 大学の地域連携活動を通して、若い力が過疎化・高齢化が進む地域に与える影響の大きさ、学生の皆さんが得られる経験の深さを知ることができました。

 

 講師の方々だけでなく、参加者の方からも、思い出話やご意見、ご質問などが出て、「次回も」のお声の出る、アットホームな雰囲気の講演会となりました。