第237回佐保カルチャー
植物と水のはなし ~植物が水を吸収するしくみ~
講師 奈良女子大学理学部化学生物環境学科
准教授 奈良久美氏
日 時:令和元年11月16日(土) 午後2時~3時30分
会 場:佐保会館 参加者:36名
参加費:500円(学生は無料)
主催 奈良女子大学同総会 佐保会奈良支部 共催 奈良女子大学 社会連携センター
後援 奈良女子大学 理系女性教育開発共同機構
″奈良女子大学の奈良です!″の自己紹介で、会場を笑いに包み込んで講演が始まりました。
そして参加者の高校生や専門外の人にもわかるよう言葉を選んで説明してくださいました。
内容は水の性質からはじまり、次に細胞膜の性質、アクアポリンの発見と機能、植物の形態・構造、植物が水を吸収するしくみ、気孔の閉鎖とアクアポリンへと進み、あっという間の1時間半でした。
水分子は1個の酸素分子と2個の水素分子の共有結合だが、さらに水分子同志がお互い水素結合してくっついたり離れたりと常に動いていて、液体として途切れないことを学びました。そしてその水の通り道である細胞膜は主体がリン脂質二重層で出来ているのだが、水の透過性はそれだけでは説明がつかなかったそうです。ところがアクアポリンというタンパク質の発見により一気に説明がつくようになったとのこと。(ピーター・アグレ博士がその発見で2003年ノーベル化学賞を受賞)
その細胞膜にあるアクアポリン(AQP)は水分子を選択的に通過させる働きがあり水チャネルと言われています。
ひとのAQPは13種類、植物は35種類と多く、組織によりAQP の種類が異なっていることで各組織は必要な養分を効率よく吸収しているとのこと。
また樹高88mの巨木が、木の頂までどうやって水を運んでいるのかが不思議でしたが、水が気孔から蒸散されることにより水分子のつながりが上へと途切れることなく運ばれることを教えてもらいました。またその様子を参加者の高校生一人一人が水分子に変身して見せてくれました。身体は酸素O、伸ばした両腕が水素Hを示し、蒸発により水分子が押し出されても途切れないことを実演してくれたので、とても理解しやすかったです。
こうして協力してくれた高校生の若者たちと一緒に学ぶことが出来、楽しさを実感した授業になりました。