奈良支部だより第72号に「第245回佐保カルチャー報告」が掲載されましたので、ご紹介いたします。
参加された方はあの日の感動がよみがえり、参加されていない方は次回への期待が沸き上がることと思います。
第245回佐保カルチャー報告
奈良には古き仏たち(7)―東大寺法華堂の不空羂索観音菩薩立像―
鈴木喜博先生(奈良国立博物館名誉館員)のこの講座で東大寺法華堂(三月堂)がテーマになるのは二回目です。前回は、いつの頃か戒壇堂に移された塑像の四天王像でした。今回は本尊不空羂索観音立像です。目は三目、腕は八本、鹿皮をまとう怪偉な三・六メートル余りの脱活乾漆像です。八本の腕の上半身とそれを支える下半身のバランス、鹿皮と布の質感の違い、他の同時代の像との比較から顔の表情など、細かく奈良時代盛期の造像のすばらしさを解説していただきました。
ところで法華堂で拝観すると、光背の位置が低過ぎるのが気になります。数十センチ上だと頭光も収まり、放射光も合掌手から始まります。が光背を上げると、先端が天井にぶつかります。八世紀中頃に造られたこの像は、八角基壇が元々この高さだったのか或いは他の堂から移されたのか等々、依然として謎を含んだままです。
午後法華堂に行くと言われた先生を、何人もの受講生が待っていました。堂守さんに断わって説明してくださったのですが、午前中に大部の写真資料を使っての解説を聴いていたので、仏像を前にして一層理解が深まりました。
法華堂にはまだ執金剛神と脱活乾漆の巨像が八体、東大寺ミュージアムに移された二体の塑像があります。次回はどの仏像についての解説か楽しみです。
コロナ禍で佐保会館への入構制限がいつ解除されるかわからないという時期、耐震補強工事のために四月から当分休館になる奈良県文化会館小ホールで、三月二十六日に行なった講演会に受講生五十四人、半数以上がリピーターでした。
(山口裕子 S42文国 S43文専国)
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第245回佐保カルチャーを開催しました。
奈良には古き仏たち(7)
ー 東大寺法華堂の不空羂索観音菩薩立像 ー
講師 奈良国立博物館名誉館員 鈴木喜博氏
日時 令和5年3月26日(日)午前10時~11時30分
会場 奈良県文化会館 小ホール
参加費 500円(学生は無料) 参加人数 54名
桜が満開を迎えました3月26日(日)に、奈良県文化会館小ホールで、第245回佐保カルチャー「奈良には古き仏たち(7)―東大寺法華堂の不空羂索観音菩薩立像―」を開催いたしました。あいにくの雨模様で、足元の悪い中でしたが、学生3名を含む、54名の方にご参加いただきました。
今回の佐保カルチャー、鈴木喜博先生による仏像シリーズ第7弾では、法華堂本尊の不空羂索観音について詳しくお話しいただきました。前半は、法華堂創建当時の仏像安置形態や、それがどのように変遷したかなどの歴史的謎を、法華堂大修理の際の様々な調査結果や、文献、不空羂索観音像の観察などを通し、解明していただきました。後半は、写真たっぷりの資料を使い、8世紀中期の不空羂索観音を真ん中に8世紀初期の仏像、8世紀後期の仏像の3体を、前面だけでなく、側面、後ろ姿まで見比べ、それぞれの共通点や違い、その時代的特徴を教えて頂きました。
盛沢山な内容で、天平の傑作ともいえる不空羂索観音菩薩立像について深く知ることができ、8世紀の文化に思いを馳せることのできた2時間でした。
*第245回佐保カルチャーの報告は、「奈良支部だより72号」に掲載予定です。どうぞ、お楽しみに。
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